シクラメンの生産現場【ポット上げ編】
こんにちは。花越のおさかべです。
まるで初夏のような陽気に後押しされて、ご近所を流れる東川の桜並木も少しずつにぎやかになってきました。
かとおもえば不意にやってくる寒の戻り。
3月に雪が降るなんて・・・!と思ったのも束の間、去年も3月に降っていましたね。
体調管理には気を付けましょうね。
さて、今日はシクラメンのお話。
すくすく育ってきたシクラメンたち。
花越ではそれぞれの品種の性質に合わせて3つのグループに分けて育てています。
大株になりやすい大輪系の品種、コンパクトに仕立てやすい中輪から小輪の品種、ガーデンシクラメンや小輪系の品種の3つ。
こちらは11月に種をまいた大鉢向きの大輪系シクラメンの赤ちゃんです。
どの株も本葉がしっかりしてきました。
力強く育っていますね。いいですねぇ。順調です。
さぁ、プラグからポットへの植え替えが始まります。
日頃の生産現場で扱う品目のポット上げとは桁違いに時間が掛かるシクラメン。
何にそんなに時間が掛かるのかというと、まずは赤ちゃんの健康診断をします。
いつものポット上げはプラグから抜き取り、土を落とさずに株のチェックをしながら植えていきます。
しかし、シクラメンの場合はプラグから一株ずつ丁寧に抜き取り、肩にかぶった土をそっと落として球根の生育状況を確認します。
ここで球根の形がいびつだったり、根の張りが不十分でぐらついているもの、芽吹いているけど傾きすぎのものを省いていきます。
この作業で、まいた種の約3割が選考基準に満たずに脱落していきます。
他の苗ものにも言えることですが、植え替え作業は一気にやってしまわなければなりません。
極端な例で、植え替えに2週間掛ったとしましょう。
多くの植物は2週間程度で新たな場所に根を張り活着します。
2週間前に植え替えたシクラメンと今日植え替えたシクラメンでは、当然根っこの育ちが違ってくるので、水のやり方も肥料の与え方も全く違ってしまうのです。
最初に本葉が出てくる芽点がまっすぐ真上を向くように。
プラグの中であっちこっちに寄っている球根をポットのど真ん中に置くように。
一株植えるごとに上からも横からも確認をして作業を進めていきます。
自分では真ん中に置いているつもりでも、園主の目で見ると少しずれていることも。
たくさん見てきたから、すぐに気付けるんでしょうね。
あるスタッフは秘密道具の「真ん中チェッカー」を自作して、サッと真ん中に植えられているか確認できるようにしていました。
その発想はわたしにはなかったので、彼女の自由な思考が素晴らしいなぁと思いました。
手間も手早さも丁寧さも求められる、花越のなかでの最上級ポット上げ。
それがシクラメンのポット上げ。
もはや自分でも何を言っているのかわかりません。
それでも良いのです。
それだけ気を使っているということなのです。
ではまた。
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